
出産直後から2~3年の間にいくつかの原因で夫婦仲が悪化してしまうことを「産後クライシス」といいます。
産後クライシスは赤ちゃんが生まれてから2年の間がもっともピークに起こりやすく、徐々に減少傾向にあるといわれています。
しかし、出産して3年以上過ぎていても夫婦仲が悪化したまま、またはさらに悪くなったと感じる女性が多くいるのも事実です。
この原因は何なのでしょうか。またいつまで続くのでしょう。今からでも始められる解決法とあわせてご紹介します。
<長引く産後クライシスの原因>
1、 ホルモンバランスの乱れ
産後クライシスのもっとも大きな原因のひとつに、妊娠中に増加したプロゲステロンなどの黄体ホルモンが出産後、元の状態に戻ろうと急激に減少する「ホルモンバランスの乱れ」があります。
そうなると自律神経が乱れ、精神の安定、幸福感を感じる働きをする「セロトニン」の分泌が悪くなり、イライラしたり涙もろくなったりと、感情のコントロールがきかなくなります。
これが産後クライシスにつながるのです。
2、 環境の変化からくるストレス
それまで家に子どもと二人きりだったのが、子どもが幼稚園や保育園に通うようになったり、お母さん自身が仕事をはじめたりすると、慣れない行事や仕事でストレスが溜まります。
そのストレスはきちんと発散できていますか?
忙しさで発散されないストレスが積み重なっていくと、イライラや気分の浮き沈みが大きくなってしまいます。
3、 優先順位の変化と過度の期待
赤ちゃんというか弱い存在ができると「守ってあげなきゃ」という母性が自然に生まれ、それまで一番の存在だった夫の優先順位は自然と下がってしまいます。
そうなると、夫にたいして「子どもじゃないんだから自分のことは自分でやって」「私の目が届かないときはあなたが子どもを見てて」というような要求をしがちです。
そしてその要求が通らなかったり、自分の納得できるところにまで達していなかったりすると、「私にばかり頼らないで」「なんでしてくれないの」と不満がでますよね。
その結果、すべてお母さん一人が背負いがちになってしまいます。これが悪循環となり、疲労とストレスが溜まってしまうのです。
<今から始められる!産後クライシスを乗り切る3つの方法>
1、 ホルモンバランスと自律神経をととのえる
女性ホルモンと自律神経は近いところで調節されているため、ホルモンバランスと自律神経は密接に関係しています。
そのため、どちらか一方の調子が良いとそれにともなってもう一方も良くなるのです。
そんなホルモンバランスの乱れを判断する目安のひとつが、生理不順です。
母乳育児をしている人は生理の再開が遅れますが、卒乳して何カ月も経っているのに生理が再開しない、または何年も周期が安定しない場合は生理不順といえます。
生理不順はほかの病気の可能性もあるので、まずは婦人科への受診をオススメします。
また、産後クライシスは自律神経をととのえることも有効です。
そのためには幸福ホルモンと呼ばれる「セロトニン」を増やすことが重要になってきます。
方法としては、
・日光を浴びる
朝起きたらまずは日光を浴びましょう。
5分程度でも効果あるとされているので朝の通勤や送り迎えでもセロトニンの分泌が活性化されます。
・一定のリズムで運動をする
歩いたり、階段を上ったりという運動が効果的ですが「噛む」こともリズム運動になるので、普段の食事で意識しておこなうとよいでしょう。
・セロトニンの分泌をうながす食品を食べる
カツオ、バナナ、大豆製品、乳製品、そばなどに多く含まれています。
また大豆製品に含まれるイソフラボンは女性ホルモンの働きを助ける効果もあるため、積極的にとると効果的です。
ただし、どの食材も大量に食べたからといってそのぶん効果が上がるわけではありません。
などが挙げられます。
2、 心の整理をしてストレスとうまく向き合う
ストレスに一番効果的なのは、好きなことをしてリラックスすることです。
しかし毎日の仕事や育児の中で、好きなことをしたくても時間がないという方がほとんどですよね。
そんなときは手帳やSNS、アプリなどを利用した1行日記で、心の整理をしてみてください。
書く内容は、普段の生活の中で見つけた小さな嬉しかったことやポジティブな気持ちです。
たとえば、良い食材がスーパーで安く手に入ったことや、子どもが保育園で遊んだことを嬉しそうに話してくれたことなど、ささいなことでOKです。
実は日記にはストレス解消の効果があります。
もやもやした自分の感情を書くことで気持ちの整理にもつながるし、悩みや愚痴を「こうしたほうがいいかな」という解決策と一緒に書くと、ポジティブな感情が生まれることが証明されています。
今でも続けて育児日記を書いているという人も、1行だけ自分の気持ちを書いてみれば、忙しくてもちょっとした時間で心の整理ができるのではないでしょうか。
3、 要求は細かく伝え、お礼は必ず言う
夫が動いてくれない、または自分が求めているところまでできないのは、やり方が分からないからです。「言わなくてもわかるだろう」「それくらいできるだろう」という思い込みを捨てて、お願いごとは細かく指定してみましょう。
たとえば、赤ちゃんのミルクを作るだけでも
- どれくらいの量を作るのか
- どれくらいの温度がいいのか
このように細かく伝えるだけで、手直しの手間が省けます。
また、お願いごとを聞いてくれたら、できていなくても「ありがとう」は必ず言いましょう。
忙しくて余裕がなくても、親しき中にも礼儀ありです。
手伝ったのにお礼の一言もなかったら、次からは手伝いたくなくなりますよね。逆にお礼ひとつで手伝ってくれるのならこんなに楽ができて嬉しいものはないです。
産後クライシスは放っておくと長引いてしまう、とても厄介なものです。
しかし、日常のちょっとした動作や振る舞いで改善できるものでもあります。
今回紹介したものをすべておこなう必要はありません。まずは、どれかひとつでもできそうだと思うことを実践してみましょう。